ユーモアのセンス [blog]
ユーモアのセンスを持たない人、どうも好きになれない。
あなたはどうですか?
60才になるまでの4年間、「日本ペンクラブ」事務局で働いていた。
当時の会長は遠藤周作先生。
初対面のご挨拶、こちらはコチコチの固まって、深々と頭を下げるだけ。
すると、
「あれ?以前、どこかでお会いしましたね~」ニコニコ顔が返ってきた。
傍にいた方が
「始まった、先生の常套句が。初めての女性に会うときはいつも
こうなんですよ」 いえ、その常套句のおかげでこちらの緊張は
一気にほぐれた。
先生の作品について語る気はない。「海と毒薬」「深い河」「沈黙」
「狐狸庵日記」でご存知の方ばかりだろうから。
いまでも忘れない話を一つだけ。
仕事にも慣れ、先生が書かれたペラ1枚を、ロンドンペンクラブに
Faxで送って来て、と先輩に言われ別室で終えて戻って来ると、
長い脚を組んで座っておられた先生、
「なんや、もう送って来たんかいな。あの紙がフワフワ、ロンドンに
向けて飛んでいるわけやな」 Faxをご存知ないわけがないのに、
わざとユーモアを交えて、皆を和ませてくださったのだ。
事務局の仕事は地味である。先生も時々、顔を出されるだけだが、
その度にユーモアを交えた話をされて、疲れを癒されたのである。
実は昨日、その先輩女性と数年ぶりに昼食を共にして、思い出話に
耽ったのだが、遠藤先生の話題が1番多かった。
「あの方こそ、本当の人格者って言えるわね」
ユーモアのセンスが無くなったら、世の中、トゲトゲしくなる
でしょうねぇ。スマートなユーモアに勝るものナシ!というお話。