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好きな言葉 [日常、犬、時事問題、家族]




 冬の厳しい寒さに耐えた木々が一斉に緑の芽を吹くように、春は誕生のシーズンである。新調のスーツに身を包んだサラリーマン、OLたち、多少の受験疲れは見えるものの、晴ればれとした顔で登校する学生たち、大きなランドセルが歩いているような小学生、みんなピッカピッカの一年生である。駅では

「〇〇よろし!〇〇確認!出発進行!」と指差し呼称の声が溌剌と響いている。

 何もかもが初々しく、人の心も輝いて見える季節である。

 ところが、やがて倦怠感が音もなく忍び寄り、五月病と言う名の奇病が蔓延する。威勢のよかった
指差し呼称もいつしか聞かれなくなる。張りつめていた弦がたるみ勝ちになり、「馴れ」という恐ろしい現象が現れはじめるのもこの頃からだ。

 大分以前の話だが、遊園地の観覧車に客を積み残したまま係員が機械を停止させ、乗客たちは高い所に止まったままの車内で一夜を明かしたという、あってはならない事件があった。

 調べにより、その係員は四月に入社したばかりだったという。彼も配置された当初は車内をひとつひとつ点検し、或いは声に出して確認していたに違いない。馴れからくる油断が大きな事故につながる例は、探せばほかにもあるのではなかろうか。あの生真面目さは、何処にいってしまったのだろう?

 ある事件で証人として国会に喚問された某議員が、若くした初当選を果たした時の映像がテレビに映し出された。紅潮した頬、キラキラ輝く目、決意を表明した自信に溢れる声、あの初々しさは何処に行ってしまったのか?

 新しい運転免許証を手にした人、ウエディングケーキにナイフを入れたばかりの新婚さん、一生可愛がりますと子犬を飼ったあなた、輝くバッチが眩しい新米議員さん、なにごとによらず、スタート地点で心に固く誓ったことはいつまでも忘れずにいて貰いものである。

 「初心忘るべからず」  世阿弥のこの言葉をいつも自分に投げかけている。

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 昨日は大変失礼いたしました。メカに弱いバアさん、お手上げでした。

 余談ですが、ひ孫が小学生に・・自分の顔よりも大きなランドセルを背に、登校しているようです。
 
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